熊本地震から10年を迎えて
- 2026.04.14 | 一般向け
本日、2016年の熊本地震発生から10年を迎えました。
この節目に際し、当センター長 笠岡俊志より、これまでの歩みと今後の展望についてのメッセージを掲載いたします。
【センター長のメッセージ】
熊本地震から10年~過去から学び将来に備えるために
熊本大学病院 災害医療教育研究センター センター長 笠岡俊志
熊本地震の発災から10年になります。
犠牲になられた方々のご冥福を改めてお祈り申し上げます。
平成28年の熊本地震では現在の気象庁震度階級が制定されてから初めて震度7が2回観測され、熊本県益城町で観測された揺れの大きさは計測震度6.7で現在まで国内観測史上最大です。さらに最大震度が6強の地震が2回、6弱の地震が3回発生し、人的・物的被害が拡大しました。人的被害として、直接死50人、関連死222人の計272人の死亡が報告されており、阪神・淡路大震災や東日本大震災と比較して災害関連死の割合が高くなりました。
最大で18万人以上の避難者が発生し、避難所からの救急搬送も多発しました。医療機関にも甚大な被害が発生し、ライフラインの途絶や建物倒壊の恐れのため、11の医療機関において全入院患者の避難(転院や退院など)が実施されました(患者総数1535人)。
このような人的被害に対して熊本県に設置された医療救護調整本部を中心に関係機関や団体の協力を得ながら様々な支援活動が実施されました。
熊本県は、元の姿に戻すだけではなく、地域の発展につなげる「創造的な復興」を前面に打ち出し、復旧・復興を進めてきました。
災害医療提供体制においても、地域災害拠点病院は13病院から17病院に増加し、災害派遣医療チーム(DMAT)は33チームから40チームに増加しています。医療機関の耐震化や非常時のライフラインの確保など事業継続計画(BCP)に基づく整備も進んでいます。
過去から学び、将来の災害に備えるために、災害医療に携わる人材育成も重要です。
平成30年10月に熊本大学病院に災害医療教育研究センターが新たに設置され、専任スタッフを配置して災害医療に関する教育や研究の推進が始まりました。
平成30年度から5年計画で文部科学省「課題解決型高度医療人材養成プログラム」に採択された「多職種連携の災害支援を担う高度医療人養成」事業を推進しました。令和5年度より熊本大学履修証明プログラム「多職種連携災害支援コース」を開講しました。この2つのプログラムではこれまでに124名が修了認定を受けています。
令和4年度から熊本県の補助を受けた「災害保健医療機能分化・連携促進事業」として二次医療圏における災害時の医療提供体制整備の支援を行っています。
本年3月19日~22日まで新潟市で開催された第31回日本災害医学会総会・学術集会では熊本地震の経験を今後の災害対応に活かすための議論や情報発信が多数行われ、大変有意義な学術集会となりました。
今後も「災害は必ず起こる」と肝に銘じて、災害医療体制のさらなる発展のため尽力する決意です。
写真:第31回日本災害医学会総会・学術集会における『にいがた・くまもと震災アーカイブ』に、くまモン来場(新潟市の朱鷺メッセにて)

