第11回災害医療(大規模災害時の死体検案
- 2021.03.10 |
今年度第4回目となる第11回災害医療セミナーを3月3日開催しました(ZOOM配信)。今回のテーマは、「大規模災害時の死体検案」です。防衛医科大学校准教授原田一樹先生から、東日本大震災の経験を基にご講演をいただきました。
まず、大規模災害時の死体検案の特徴として、身元確認に重点が置かれること。そして場所によっては、1日に50体以上の検案を行わなければならず、時間をかけた死因判断は現実には不可能であること。ライフラインが欠損している場合が多く、遺体洗浄水の確保や検案場所の光源の確保やコピー機の使用も困難であること。等を上げられました。
また、東日本大震災犠牲者の死因としては、溺死、多発外傷、焼死、不詳などで、それぞれについての解説がありました。
最後に、通常検案とのアプロ―チの違いなど大変なことも多かったが、得難い経験であったこと。法医学領域では複数の医師が一緒に活動することは少なく、この災害派遣のように同じ目標に立ち向かっていくという貴重な経験ができたこと。阪神大震災の経験が生かされ法医学者の災害対応は、進歩したと思うが、まだ改善点も多いので、今回の経験を将来にフィードバックすることが重要とまとめられました。
医療関係者の皆様におかれましては、コロナ対応等大変ご多忙の中、80人近くの多くのご参加をいただきありがとうございました。集合形式の研修会や訓練が難しくなっていますが、引き続き工夫をしながら企画運営をして参りたいと思います。 災害医療教育研究センター 坂本弘一